その1 空飛ぶ魚

バタバタバタと、激しく羽ばたいて、

海面きわどく、必死に飛ぶトビウオ。

まさか、自分が鳥だとは思っていまいが、

ちょっと心配になる。

 

進化とは不思議なもので

一方で、飛ぶのをやめた鳥もいる。

例えばペンギン。水を得た鳥。潜水だって平気。

ダチョウもそうだ。時速80kmの異色のランナー。

その昔、はずみで、泳いでみた、走ってみた、

そして、きっとそれが気に入ってしまったのだ。

哺乳類も負けてはいない。極め付けはクジラだ。

余程の事情があったに違いない。

また、海に帰って行った。

鳥は飛ぶもの、哺乳類は歩くもの。

そんな常識を覆すツワモノが魚界にもいた。

 

魚は泳ぐだけではない。

トビウオこそがツワモノだ。

バタバタバタと、まだまだ進化の途中。

気の遠くなるような、はるかな未来に

『空飛ぶ魚』を目にする日が来るかもしれない。

この地球に人類がいればの話だが。

 

 

  

 

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